古くから寓話に登場するマンティコア

キメラに似た合成獣の代表格

マンティコアは、古くはアリストテレスの「動物誌」や、プリニウスの「博物誌」に登場する幻想生物です。
以前紹介したキメラと同じく、数多くのエンターテイメントの中にもその存在を見出す事が出来ます。

特にゲームの中に登場する機会は多く、女神転生FFシリーズで知った人も多いのではないでしょうか。

その特徴的な外見は、ライオン位の体躯に人間の顔、特筆すべきは尻尾がサソリと言う事ですね。
文献毎に差異はありますが、概ねこの姿をイメージする人が多いと思います。

主に人間を襲って食べると言う事と、場合によって尻尾から毒針を飛ばしたり槍の様に刺したりと凶暴な描写が多いです。
時には蝙蝠の翼を持った姿で伝えられる場合もあります。

マンティコーラース
出典元:http://www.fromoldbooks.org/J

マンティコアの生息する地域

恐らくですが、先のキメラのイメージも強く、ギリシャ近辺で生息していると言う思っている人は多いと思います。
しかし意外な事に、マンティコアは主にインド地方やペルシア地方で生息するとされてきました。

そもそも「マンティコア」と言う名前も「マンティコーラース」と言うペルシア語から来ています。
直訳すると「人を食らう者」と言う恐ろしい意味が有り、古代の人々の間では割と知られた怪物だったようです。

その後西洋圏に伝播すると、その偉業から様々な逸話がプラスされ、宗教、絵画に大きく影響を与える様になります。
特にキリスト教では悪魔にするのにうってつけで、色んな文献に登場するようになりますね。

元々はアジア地方に生息すると言われていたこの獣が、先ず西洋で知られるようになるのは興味深いです。

マンティコアのモデルは?

もちろんマンティコアは幻想生物なので、実在したわけではないですね。
しかし、そのルーツを探ってみると、どうもアジア地方に生息していたベンガルタイガーの様です。

最初に人を食べると言う事で、ベンガルタイガーの存在が広く知られるようになります。
当時の人々の間では恐怖の対象だったんでしょう。

この話が広がって行く間に、形を変え話が脚色されマンティコアになって行ったんだと思います。
実際ギリシャ近辺の人には、ベンガルタイガーを直接目撃した事がある人はあまり居なく、話のみ聞いた事による結果だと言えますね。

最終的にはその脅威は「一個小隊と匹敵する」とまで恐れられるようになります。

スフィンクスとの関連性は

個人的に思ったんですが、人面で体はライオンと言うのはスフィンクスと一緒です。
ひょっとしたら、スフィンクスのイメージとどこかで織り交ざった生み出された怪物の可能性も無視できませんね。

流石に尻尾がサソリと言うのは完全にオリジナルですが、伝承の中にはマンティコアも人語を話すと言う物もあります。
ここまで来ると、その特徴の殆どはスフィンクスの伝承と一緒ですから、エジプト側からの逸話も混ざっていると考える方が自然だと思います。

マンティコアはこの様に、当時のアジアからの情報とエジプトからの情報が織り交ざって出来た怪物なんではないでしょうか。

[当記事の著作権はhttps://chahoo.jp/に帰属します]2016/04/15
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マンティコア
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