モアイ以前の土着の神様タンガタ・マヌ
モアイで有名なイースター島。
その強烈なインパクトおかげで影が薄くなっていますが、もう一つこの島で有名な物にタンガタ・マヌが存在します。
昔から他の国の文化に属さない事から独自の進化を遂げたこの島の伝説に登場するようですよ。
タンガタ・マヌと言う名称はどちらかと言うと後になって付けられた別称の様な物で、当時はそのまま「鳥人」と呼ばれていたようです。
その名の通り人と鳥が融合したかの様な外見をし、長いくちばしを持っています。
分かっている事は、古くはこの島で鳥人を祀ったお祭りも開催され、それらを含めてタンガタ・マヌに触れたと思われるペドログリフ(岩の彫刻版)も発見されています。
タンガタ・マヌは神様の使いか
個人的に不思議なのは、鳥人と敬われる割には翼を持っていると言う描写は少ない事ですね。
人間の様な体格に、長く下方向に曲がった嘴をもつタンガタ・マヌですが、それ以外の外見的特徴は特に無いのが逆に特徴かもしれません。
本来どの国の神話や伝説にも鳥をモチーフにした神様や怪物は登場しますが、それらとは少し毛色の違う存在の様です。
日本では八咫鴉、中国では鳳凰、ギリシャではハーピー等竜の他にも鳥をモデルにした生物は山の様にいますが、タンガタ・マヌはどちらかと言うと神性の強い象徴のような感じでしょうか。
元々モアイよりも古くに、イースター島にはラパ・ヌイ神話と言う物があり、その中に登場します。
この事からも、本来土着の神でもあり、隔絶された島から外の世界とを結ぶ橋渡し的な意味合いも込められての神様だった様ですね。
他にも豊穣祈願の側面も持ってたりします。
読めない文字ロンゴロンゴ文字
更にイースター島で有名な物はロンゴロンゴ文字と呼ばれる解読不能の言語です。
これは、タンガタ・マヌやモアイとワンセットで語られる事が多いですが、この島独自の言語であり現在でも解明されていない文字です。
どうやら横書きの文字は最上段右から読み始め、次の行に移ると今度は左側から読み進めると言う具合の謎多き言語ですが、100%解明されれば上記の謎に関する情報も沢山出てくると言われています。
モアイを始めとして、イースター島の歴史は謎が多く、モアイの建立の意味や運搬方法なども明確に解明されたわけではありません。
この島が廃れてしまった理由は疫病の蔓延とも言われていますが、16世紀には民族間で内紛も勃発し、お互いモアイを倒すなどのやり取りが行われたと見られています。
その後、島民に再度あがめられるようになるのがタンガタ・マヌです。
この段階では、再度土着の古い神様を讃えましょうと言う風潮になったらしく、主神マケマケと共にタンガタ・マヌは日の目を見る事になるんですね。
謎の多いタンガタ・マヌと他の文明との関係は
この様に岩の彫刻にその姿を見る事が出来たり、名前も判明しているタンガタ・マヌですが、結局の所鳥人と言う事以外は殆ど分かっていないのが実情です。
当時の島民に神聖視されていた事もそうですが、いかんせん記録は残っていないので現在ではモアイと同じくイースター島の謎の一つでもあります。
この島から離れたインカ帝国に登場する鳥の神様と同じものだとする説もありましたが、これは現在では否定されているようですね。
それよりもハワイを中心としたメラネシア地方では古来より鳥を崇拝するケースが多く、タンガタ・マヌも同様に神性を持たされた鳥としてあがめられていたようです。
イースター島の場合、近くに島が無い事から滅多に外部の人とやり取りをする事は多く無かったんではないかと推測されますが、どこかのタイミングで他の島にも伝わる鳥の神様のイメージが流入したんでしょうか。
もしくは逆で、ひょっとするとイースターから出て行って他の地域でも見られるようになったのがタンガタ・マヌかもしれませんね。
[当記事の著作権はhttps://chahoo.jp/に帰属します]2016/04/18当記事の無断転載は禁止しています。