ファンタジーにも登場するケルピー
アイルランドやスコットランドを中心に、ヨーロッパでは水馬に関する伝承が多く存在します。
その中でもケルピーと呼ばれる馬の妖精は非常に有名で、数多くのエンターテイメントの中にも登場します。
概要としては、一見馬の姿をしていますが水の中でも生活できる妖精とされています。
時代や地域毎にも差異があり、時に悪霊の様な存在だったりもしますね。
似た様な幻想生物でアハ・イシュケと呼ばれる魔物も存在しますが、大体は灰色もしくは茶色の馬の外見で美しい毛並みを持っています。
毛の下は緑色の肌をしていると言われ、下半身が無かったり、後ろ足が完全にヒレになっていたりします。
背中に乗るとアウト
ケルピーの伝承で有名な物は、普通の馬と思い背中に乗ると一気に川や海に向かって走り出し、そのまま人間も水に引きずり込んでしまうと言う物です。
イタズラと言えば聞こえは良いですが、これが元で溺れた人もいると言われていますね。
逆に上手く乗りこなす事が出来れば、それは他のどの馬にも負けない程早く走り、飼い主に様々な恩恵をもたらせてくれると言われています。
しかし、一旦飼い主の手から離れてしまうと今までの恨みを呪いとして振りかけるとも言われています。
イングランドの伝承の中には、ある領主がケルピーを乗りこなし城の城壁を作るのを手伝わせた所、完成後に末代まで届く呪いをかけられ結局その一族は滅んでしまったと言う物もあるそうです。
この事から非常に気難しく、どちらかと言うと「触らぬ神にたたりなし」と言った趣が強いと言えるでしょう。
広い地域で登場する水馬
実は古くからヨーロッパの各所に水馬に関する伝説は存在します。
そのどれもが未確認生物と言うよりは幻想の産物ですが、このケルピーの他にも広い海洋に水馬がいると信じられて来ました。
日本ではあまり知られていませんが、特に大公開時代になると海の司教、クラーケン、シーサーペント等と同様に海の怪物として存在すると信じられて来たんですね。
当時の地中海をポルトガル側からトルコ方面に航海すると、そこには船よりも大きな緑色の水馬が二頭いると信じられていました。
最もこの水馬は、海の怪物と言うよりも神のご加護として遭遇すると縁起が良いとされていましたが。
ひょっとしたら日本でも探せばこうした水馬に関する伝承はあるのかもしれませんが、歴史的にも馬が生活に密着していたヨーロッパならではの伝説かもしれないですね。
魔物としてのケルピー
時にケルピーは、人間を襲い内臓以外を食べてしまうと言われています。
ブリテン島の湖の付近ではこうした伝承が存在し、湖畔で草を食んでいる馬だと近づくと、やはりそのまま湖の中に引きずり込まれ最後には湖面に内臓だけ浮かんでいると言う逸話です。
こうしてみると非常に残忍な妖精だと言う事が分かります。
よくよく考えてみると、ユニコーン、ペガサス等馬に関連する幻想生物は多いですが、ケルピーもそうした物の一部で人間に害をもたらす存在として広まったのかもしれないですね。
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