いつからか一つ目になった未確認生物
カトブレパスは古代の未確認生物とも言える不思議な立ち位置の生物です。
幻想生物とも言えますし、ゲームなど色々なエンターテイメントの中にも登場します。
そのイメージで言うと、一つ目の四肢のある巨大な怪物で、この瞳に見つめられると死んでしまうと言われています。
実は、この「一つ目」と言う記述は元々存在しなかったようで、いつの間にか顔の真ん中に大きな目が一つだけ付いていると言う頭部が一般的になってしまいました。
恐らく、ゲーム「ファイナルファンタジー」に登場した時の印象が強すぎたのかもしれませんね。
プリニウスの博物誌に登場するカトブレパス
カトブレパスと言う名前は、古代のギリシャ語で「うつむくもの」と言う意味があるようです。
体に対して、頭部が大きく重かったことから常に前かがみな状態だと思われていたんですね。
次いで邪眼も持ち、時には毒を吐くともされていました。
要は、遭遇すると非常に危険な生物と紹介されていたんですね。
カトブレパスが登場する書物には、プリニウスの博物誌があります。
このローマ人が記した書物は、実に様々な事象を取り扱った専門書として古代から知られて来ました。
カトブレパスの様な生物にまつわる事だけでなく、天文学や地理、植物に関して等今で言う所の百科事典の様な物だったのかもしれません。
15世紀に、活版印刷によって再度印刷された物がより多くの人の目に留まる事になり、結果こうした未確認生物なども認知されていったんですね。
気になるカトブレパスの正体は?
現代となっては未確認生物と言うよりも幻想生物の方が正しいカテゴリーなのかもしれませんが、その正体に迫ってみます。
当初カトブレパスは南エチオピアに生息すると思われていたんですね。
先ほどの内容と重複する部分もありますが、その特徴としては
- 頭部が大きく思い
- 邪眼を持つ
- 吐く息が毒
- 動きは緩慢
- 四足歩行する生物
上記に集約されます。
又、紀元前110年あたりに勃発したユグルタ戦争の最中、カトブレパスに遭遇した軍隊が全滅させられたと言う記述も残っています。
これは、3世紀になってギリシャの詩人アレキサンドロスが残したものなので、フィクションとしての意味合いが強そうですが、少なくともこの時点では割と知られた怪物だったと言う事が伺えますね。
更にルネサンスも終わった16世紀に出版された「四足獣」と言う書籍の中にも登場します。
記述内容は特に変わった物はありませんが、この時点で完全にヨーロッパでは知られた怪物となったと言えます。
これら諸々を含めて再度考えたときに、先ず正体の最有力となる生物はヌーだと見られています。
日本にはあまり馴染みの無いヌーですが、古代よりアフリカに生息している牛の種類の生物になります。
確かに、一見すると体毛の関係などで体より頭部が大きく見える感じがします。
動きはお世辞にも俊敏とは言えず、全身の色は主に黒い事から邪眼や毒のイメージが付与されたのかもしれませんね。
これに関しては18世紀に活躍した博物学者のジュルジュ・キュビエが、はっきりと明言しています。
カトブレパスが世の中に最初に登場した時代は、まだエチオピアと言う地方自体が謎に包まれていて、そこに生息する不思議な生物がいると言う噂などもあったんだと思います。
ちなみに、一説に邪眼の話や毒に関する逸話は、同じヨーロッパの神話や伝承に登場するバジリスクやバロールに由来すると思われますね。
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