雄鶏と蛇の合体したヨーロッパの怪物
中世の聖書の中にも登場する怪物がコカトリスです。
日本でもゲームの敵として馴染みがあると思いますね。皆一様に雄鶏と蛇、もしくはトカゲと融合した様なフォルムで描かれる怪物です。
毒にまつわる攻撃をしてくる事が多く、実際伝承の中で語られてきたコカトリスも猛毒を持つ怪物として記述されています。
コカトリスと言うのは英語読みの様で、フランス語圏ではコトリーユと呼ばれる事もあるようです。
この事から一見ヨーロッパが発祥の幻想生物と思いきや、その由来は諸説あります。
コカトリスは中東からの輸入版か
まず中東にはバビロンの時代から似たような幻想生物でバジリスクと言う物が存在します。
こちらはトカゲや竜の化け物として描かれる事が多く、建造物の装飾などにも用いられています。
猛毒を持ち、口から毒息を吐いたり馬上の騎士が槍でバジリスクを突いた所槍を伝い騎士を伝い馬も死んでしまったと言います。
このバジリスクが、14世紀頃ジェフリー・チョーサーが執筆した「カンタベリー物語」の中に登場した際に初めてバジリコックと言う名称が付けられました。
あくまでこの段階ではバジリスクの紹介と言った感じでしたが、ヨーロッパ風にアレンジされた結果コカトリスと言う名称になり、姿かたちもトカゲ+雄鶏と言った物になったと言われています。
他の説では、元々イクネウモーンと言う「後ろから尾けるもの」と言う言葉がラテン語を介し、更に昔のフランス語を経てコカトリスになったとも言われています。
これは最初マングースを指す名称だたったんですが、いつの間にか獲物の蛇とか鶏が混ざった結果怪物になったんだと言われています。
どちらの説にしろ、細かい部分はバジリスクの影響を過分に受けていると言えるでしょう。
コカトリスとドラゴンとの融合

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長い年月を経て、段々とコカトリスは怪物としての側面を強くして行くことになります。
最初は民間に伝わるような身近な怪物だったのが、認知されると共にヨーロッパで悪の象徴とされるドラゴンとも結び付いていくんですね。
結果、後の時代のコカトリスは蝙蝠の様な翼を持っていたり、サイズも大きくなったりした物が有名になっていきます。
又、毒に関する情報もバジリスクと同じで、先ほど記述した槍を持って馬に乗った騎士の話も対コカトリスバージョンとして存在するようです。
厄介なのはコカトリスが池で水を飲むと、当分の間はその池は毒に侵されて飲めないとか、息を吹きかけられると死ぬとか、見つめられると石になってしまうと言う物まで存在します。
どれも人間様からしたら致命的ですね。この様に恐れられた怪物だったんです。
レリーフや紋章にも登場する

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一周回ってなのか、このコカトリスやバジリスクは総じて貴族の家の紋章や建造物のレリーフに登場するようになります。
これは、一族や家を外敵の悪しき物から防ぐために用いられたんですね。
まさに「毒をもって毒を制す」の信念で、「どうせだったら守ってもらおう」と言う発想から来ています。
ここに関しては、雄鶏と言う割と身近な動物がモチーフになっていた事も大きいと思いますね。
平民でも知っている動物ですから現実的な側面も持ち、認知度も含めて考えると使用しやすかったんだと思います。
なんと言うか出世した感がありますね。
他の幻想生物だとケルベロスやキメラと並び、現在ではゲームの世界でその存在を見る事が多いと思います。
やっぱり扱い安いんだろうなーと思いますがどうなんでしょう。
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