メソポタミアの恐怖の怪物フンババ

ギルガメシュ叙事詩に登場する怪物

古代メソポタミア地方に伝わる幻想生物フンババについてです。
その名前自体はRPGゲームや映画でちょいちょい目にする事もありますが、具体的にどのような怪物だったかと言う事を知っている人は少ないと思います。

有名なのはFF6のインパクトのあるボスキャラ「フンババ」でしょうか。

FF6のフンババ
FF6のフンババ
出典:http://homepage2.nifty.com/

このフンババは当時の中東だけでなく、ギリシャヒッタイトの神話の影響を受けていたり、どことなくバハムートベヒーモスにも影響を与えた様な感じがするのは私だけでしょうか。
気のせいかもしれませんが、この時代の神話伝承や文化は隣接する他地域の影響をもろに受ける事もしばしばですので、何かしらディティールが付与されてたりしますね。

では気になるフンババとは一体どんな幻想生物なんでしょうか。

フンババの詳細とは

フンババのマスク
出土したフンババのマスク
出典:http://www.opticalillusion.net/

恐怖の怪物」と言う単語が似合うフンババですから、外見も並大抵のものではありません。過去にも複数のマスクが出土していますが、そのどれもがなかなかにゾワっとさせてくれる物ばかりですね。
記録によると、頭部と前足はライオン、全身は棘の様な沢山の鱗に覆われていて、後ろ足はハゲタカの物となっています。

更には、尻尾と男根は蛇で頭部には牛の角が生えているようです。
どうでしょう、もはや当時この付近で知られていたであろう動物が全部入ったかのような出来です。もはや芸術性すら感じますね。

普段何をしているかと言うと、神様が住むとされているレバノン杉の森林を守っています。
不審者が森に踏み込むと、およそ400キロも遠くにいてもそれを看破し、駆けつけた後に口から洪水や炎を吐いて死に至らしめると言います。

なかなかにハイスペックの様ですが、ここまで詳細が細かく残っていると思いませんでした。
今回記事を書くに当たって色々調べてみましたが、どことなく愛着が湧くような印象ですね。

英雄ギルガメシュのフンババ退治とは

メソポタミアと言えば切っても切り離せないのが英雄ギルガメシュの冒険譚です。
このギルガメシュの相棒として同じく人気なのが半人半獣のエンキドゥですが、元々敵同士だったこの二人が親友関係になった後に、フンババを退治に来るんですね。

退治されるフンババ
退治されるフンババ
出典:http://www.gwthomas.org/

この一連の話はギルガメシュ叙事詩に記されていますが、どうやらフンババが守るレバノン杉を取りに行くのがその発端の様です。
結局戦いは避けられないわけですが、当初「7つの輝き」と言う特殊な光で守られているフンババに、ギルガメシュとエンキドゥは苦戦します。

困った挙句フンババに対して、「妹たちを差し出すから」と言って油断させることに成功します。
その結果自ら「7つの輝き」を脱いでしまったフンババは、ギルガメシュに殴打された後とらえられます。

ここに来て、初めてギルガメシュに命乞いをするフンババですが、エンキドゥは「命を奪った方がよい」と提案します。
二人がどうしようと話し合っているうちに、隙を見たフンババは一度逃走しますが、ギルガメシュに追いつかれて首をはねられます。ここに関しては、一説に追いかけてきたのはエンキドゥも一緒だったりしますね。

結果このフンババ退治はエンリルと言うレバノン杉の番人に命じた神様を怒らせる事に始まり、ギルガメシュとエンキドゥ共に死ぬまで暗い影を落とす事になります。
切断されたフンババの頭部は、その後も長い間美術品や厄払いのゲンの良い遺物としてアケメネス朝の到来時まで語り継がれたとも言われています。

余談ですが、昔「ダウンタウンのごっつええ感じ」の中で「ウンババ」と言うコントがありました。
学校のトイレ個室の中に潜む謎の怪物に扮した松ちゃんが、う○こを投げつけてくると言う内容でしたが、よく考えたらウン=糞で、ババは関西地方でやはりう○この事を指しますよね。

[当記事の著作権はhttps://chahoo.jp/に帰属します]2016/08/18
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フンババ
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