麒麟にまつわるエピソードは膨大な量に登る
日本でも馴染みのある麒麟、元々は中国から伝わってきたと言う事を知っている人も多いと思います。
キリンビールのラベルなどがその代表格だと思いますが、元は聖獣として敬われる動物だったみたいです。
もちろん実在した可能性は低いですが、色々な書物に出てきたりしますね。
外見もさることながら逸話等も興味深い物ばかりです。
麒麟は獣類の頂点に君臨する
神秘的なイメージがつきまとう麒麟ですが、その姿は鹿をベースにした様な生物です。
頭部に一本の角が生えていたと言う記録もあり、ヨーロッパのユニコーンと似たような感じですね。
ユニコーンは元々ギリシャ神話にも登場する事からそこから伝聞して中国に入ってきた物が麒麟のモデルなんではないでしょうか。
キメラの様な合成獣の側面もあり麒麟も文献によっては頭が龍で尻尾は牛だったりもします。
昔から各国で色々な生物を混ぜた架空の生き物を空想して、神聖を与えると言う行為は多かったと見られます。
日本でも鵺と言う妖怪がいますしね。
麒麟は獣類の頂点にいると言われ、殺生は好まず蹄や角にも他の生物を傷つけないように特殊な仕様になっていると伝えられてきました。
厳密には麒麟の二文字それぞれ雄と雌を指していて、雄に当たるのが麒の方、雌に当たるのが麟となっています。
中国の文化では似た生物でも性別で違う漢字一文字で表記する事が普通だったんです。
この生物を総称して麒麟と呼ぶようになりますが特に日本では一頭の生物をそのまま麒麟として捉える向きが強いですね。
ちなみに鳥類の頂点には鳳凰が存在します。
麒麟は王政と関わりの深い聖獣
古来の中国ではどの様な扱いを受けていたかと言うと、そのまま畏敬の念を持って神聖視されていました。
麒麟自体を傷つけてしまったり死骸を発見する事は非常に凶兆と言われ、縁起が悪い事とされてたんですね。
興味深いのはその時々の王の治世が民を大事にする様な良政の時代には現れると言われています。
この事から民間はおろか、特に王宮内でも特別な存在として伝えられてきました。
壁の装飾や石像、皇帝が身に纏っていた衣服にもきらびやかな麒麟の刺繍が盛り込まれてたりします。
他にも似たような聖獣は3匹存在し、麒麟の他には鳳凰、霊亀、応龍が該当します。
これらを総称して「縁起の良い神獣」と言う事で端獣と言われています。
孔子の歴史書「春秋」の中にも登場し、この時は手違いから人々に掴まってしまい、その後麒麟だと判明すると皆恐れて逆に埋められたと言う記述もあります。
実在の動物キリンとのつながり
日本人なら一度は考えた事もあると思いますが、動物園に居るあのキリンのルーツもこちらの麒麟になります。
簡単にまとめると先ず麒麟が伝承として広く知られていますね。
後年の明の時代に鄭和と言う提督が南方に遠征した際に、その別働隊がアフリカまで赴きキリンを捕まえてきます。
時の皇帝永楽帝に献上されますが、どことなく麒麟に外見も似ていた事もあり大事に扱ったそうです。
ソマリア語では首の長い生き物と言う意味のゲーリと言う名称で呼ばれていた事もあり、それも現地の人間から耳にしたんでしょう、外見と地元の名称発音が似ている事からそのままキリンとなりました。
更に年が下り中国以外でもキリンが認知されてくると、当時の中国の伝承そのまま日本でもキリンが定着したわけです。
その他麒麟にまつわる伝承は沢山あり、麒麟の中でも色が違う個体を個別の名前で呼ぶなど中国の文化と思想が色濃く反映されていますね。