今までのUMAと比べると少し聞きなれないかもしれませんが、ジェボーダンの獣は現代ではなく中世フランスでの未確認生物です。
これは当時の公的な記録が沢山残っていることから現代でも有名になり、いろいろなメディア、映画や漫画などにモチーフが用いられるお話です。
舞台は18世紀のフランス・ジェボーダンでの事。
オオカミに似た大型の生物が現れ、家畜や人間に多大なる被害を及ぼした未確認生物事件です。
実際人間が何人も殺されていると言うスリリングな側面も現代のUMAとは一線を画していますので、人を惹きつけているのでしょう。
被害にあった人間の数もふり幅がありますが一説には60人から100人まで昇るという話です。怖いですね。
陰謀説も入り混じるジェボーダンの獣事件
フランス語ではLa bête du Gévaudan(ジェボーダンのベート)とも呼ばれたこの事件は現代では研究が進み、ただのUMA事件としてではなく陰謀説もあります。
混沌としていた当時の政治背景も相まって、この様な説も生まれたのだと思いますが、それほど現代でもミステリアスな部分と、人々の恐怖との対象としての認知力が高かったのでしょう。
実際、最後は当時の国王、ルイ15世までもが一噛みしてきます。
ジェボーダンの獣の特徴は、牛ほどの大きさもあるオオカミに酷似した外見、そしてそれに沿ったような攻撃性、何人も被害が出たのもうなずけるほどの遺体の凄惨さだったと言います。
ある者は全身をズタズタに引き裂かれ、又ある者は首から上がスッパリなくなっていたりなど、バリエーションにも事欠かない事が挙げられます。
全身は赤毛で覆われ、背中には黒い縞々があったという事から何となく大型のハイエナをイメージしますが、当時のフランスはジェボーダンに果たしてハイエナは存在したのでしょうか?
歴史に最初に登場したのは1764年ですが、当初からこの獣の特異性は際立っていたようで、本来であれば肉食の動物がメインとする人間の脚部や喉を無視している事がおかしいですね。
頭部に固執していたようで、上にも書いた通り死体に頭が無いこともしばしばです。
これが陰謀説に一役買う事になった気もしてるんですが実際はどうだったのでしょうか。
国を挙げての獣狩り
1765年には国王自ら直々に、当時オオカミ狩りで名を馳せた親子にジェボーダンの獣狩りを命じています。
最初にこの親子がした事はオオカミ狩り様に訓練された猟犬を8頭連れてきて、ひたすらユーラシアオオカミを狩り続けました。
しかし、この間にもジェボーダンの獣の被害は止むことはなく、被害報告が増え続けたみたいです。
そして、今度は親子の代わりに、国王の火縄銃運搬係をしていた狩人のフランソワ・アントワーヌと言う人間をこの任務に当てます。
この男は一応結果を出します。
一頭の大型のオオカミを仕留める事に成功するのです。
そのオオカミは体長170センチ、体重60キロ超の物でしたから、誰もがジェボーダンの獣だと確信したようです。
そしてこのオオカミは剥製にされてベルサイユ宮殿に送られます。
こうして、ある意味公式に獣退治の功績を認められたアントワーヌは多額の報奨金をもっらたとさ。
しかし、そこは人を惹きつけてやまないUMA事件、暫くすると被害が再発します。
こうして最後に出撃したのが敬虔なクリスチャン、ジャン・シャストルと言う猟師です。
シャストルは狩りの時も祈りを欠かさなかったようで、この際に獣に出くわします。
祈りを捧げている最中、ジェボーダンの獣はじっと彼を見つめていたようです。
そして記録にはその後シャストルに銃殺されたと残っていますが、非常に不思議な部分ですね。肉食の動物が獲物を見つけてじっとするなどあり得るのでしょうか。
ここに関しては、後年脚色されたのではないかと思いますが、陰謀説にも繋がる懐疑的な意見もあります。
要は、黒幕はシャストルで普段から獣を調教してあったのではないかと言う事ですね。
事実じっと撃たれるのを待っていたとしたらあり得なくも無いかなと。。。。
ジェボーダンの獣の正体は?
色々な説がありますが、当時から議論の的だったようですね。
単純にオオカミの獣害を誇張しただけの事件だとする意見もあれば、そのまま大型のオオカミ、もしくはオオカミの亜種だとする説。
アフリカから持ち込まれた当時は認知されていなかったハイエナ説、果てはヨーロッパの文化で狼男の仕業なんてのもあります。
一番ロマンがあるのは狼男説ですが、シャストルの射殺した剥製も残っているようで、これは流石に違いますかね。
どのみちシャストルが獣を撃った事でその後の事件は止んだようです。
現代では研究にも限界があると思いますが、こうした歴史上に公的に記録が残った未確認生物、UMAと言うのも味がありますね。