ブギーマンは西洋版ナマハゲ
よく映画のテーマに据えられる事の多いブギーマン。
その名前も耳にした事がある人は多いと思います。
主な概要は、西洋圏での子供に言い聞かせる民間伝承から発生した怪物、幽霊と言った存在になりますね。
特にこれと定まった外見は無く、クローゼットやベッドの下などの暗がりから登場すると信じられてきました。
欧米では「悪い子にはブギーマンが来てさらっていく」と早く寝かしつけるために親が枕元で話す怪異譚だったりします。
ブギーマンの発祥元は
一説にはスコットランドが発祥と言われています。
この地には元々「ボーグル」や「ボギー」と呼ばれる悪い妖精の伝承がありますが、これが民間に浸透し子供をしつけるために気軽に用いられたのが最初の様ですね。
スコットランドやアイルランドでは、沼地の事をボグ(bog)と呼んでいて、そこに何かが潜むとされて来た土壌があります。
日本ではそこかしこに沼地はありませんが、生活に根差した部分の土地の形状などがそのまま民間伝承に盛り込まれた感じと言った所でしょうか。
ヨーロッパからアメリカ大陸への移民を仲介して、現在では同じくアメリカでもブギーマンの存在は語られています。
似たような物ではハロウィンがありますが、これも元々はケルトのドルイドが信仰していた概念が海を渡りお祭りになった物ですね。
ブギーマンとは一体何か
ブギーマンを形容する外見が定まっていない事が都合よく、地域、各家庭ごとでブギーマンの姿は違うのが特徴です。
男性であったり女性であったり、牙があったり鋭い爪があったりと空想の産物であるが故に様々です。
大きくウェイトを占めるのは親が子供に対して程よく怖がらせ、良い子にしつけるために最良と思われるディティールが盛り込まれている事ですね。
つまり家庭によって、自分の子供が一番怖がる的確なモチーフをチョイスする事によって、結果的に色んな外見を持つ怪物になりました。
又、行動も攫っていくとする物もあれば子供を食べると言った物もあったり、窓の外を爪でキーキー引っ掻くと言う物がありますね。
イメージとしては日本の秋田県の名物、ナマハゲの様な感じでしょうか。悪い子供の元に現われてお仕置きをすると言う事が根底にあります。
怖がる幼い子は、ブギーマンに遭遇しないように普段の生活を省みて早く寝たり、片づけを率先して行うと言う事ですね。
世界中に存在する類似の怪物
興味深いのは、西洋圏だけなく世界中に似たような伝承が存在する事です。
日本のナマハゲもそうですし、ドイツではザントマン、ポルトガルでは袋男、インドではボリバラ等と呼ばれる逸話が存在します。
何故かサンタクロースとも似ていて、大きな袋を担いで居る事が多いです。
悪い子はその袋に入れて持って行ってしまうと言われ、洋の東西を問わずここの部分も共通してたりしますね。
映画の世界で有名なのは「ハロウィン」シリーズに登場するブギーマンです。
マイケル・マイヤーズと言う名の殺人鬼ですが、別称がブギーマンとなっています。これももちろん一般的に流布している伝承からインスパイアされた物ですが、13日の金曜日のジェイソン、エルム街の悪夢のフレディと並び有名なホラー映画キャラクターですね。
他にもゲームの中に登場したり、書籍の中にも数多く登場します。
時にコミカルだったりもして作品ごとに外見は大きく異なりますが、広く認知されていると言う特殊なキャラクターと言えるでしょう。
音楽業界では曲名やバンド名に見る事が多いですが、往々にしてこの名前が付いている作品はダークでオカルトチックなホラーが多いです。
この様に、アメリカと言う国は発祥がヨーロッパである物の、現在では広く浸透している逸話が意外に多いです。
このブギーマンの他には首なし騎士で有名なスリーピーホロウや、先ほども述べたハロウィンなんかもそうですね。
一つ一つを調べて行くと、そこまで古くからディティールが完成していたわけでは無い事が分かると思います。
これは、アメリカ合衆国が出来て、そこに元から存在していた伝承では無い事から細部が固まっていないからでしょうか。
今回ご紹介したブギーマンも同じように、どちらかと言うと各家庭で語られるおとぎ話の様な物なんです。
[当記事の著作権はhttps://chahoo.jp/に帰属します]2016/05/10当記事の無断転載は禁止しています。