スラブの魔女バーバ・ヤーガの伝説

芸術作品にも登場する山姥

バーバ・ヤーガ」、もしくは「ババ・ヤーガ」とも「バーバ・ヤガー」とも呼ばれる魔女の伝承がスラブ圏には伝わっています。
日本で言うところの山姥とか鬼婆に似ている存在ですが、特殊な能力を使ったりして人々に害をなす存在と考えられてきました。

バーバ・ヤーガは森の中に住んでいて、その住処はなんでも「鶏の足の上に立つ小屋」と呼ばれるようです。
これは、高床式の倉庫の様なイメージで、地面と小屋の床が直接接地していない作りの物の様ですね。これを現地の言葉で皮肉ったのが上記の名称になりました。

伝承とは言え、このように細かい所まで設定が完了していますから、人々に広く知られていた妖怪の様な位置づけなんだと思います。

バーバ・ヤーガ自体は芸術の分野にも登場していて、有名な組曲「展覧会の絵」の中にも1曲その名を見る事が出来ます。

バーバ・ヤーガの特徴

バーバ・ヤーガ
イヴァン・ビリビン画 出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/

年を取った魔女と言う事でそのディティールは一般的なイメージの物に近いですね。
黒いトンガリ帽子は被っていませんが、ひどく痩せこけた容姿で白髪と言う部分は想像通りです。

脚に関しては骨がむき出しの状態になっていると言う事で、ここに海外の文化的な側面が少し垣間見える気もしますが、非常に不気味ですね。
特筆すべきは移動方法です。なんとにのって移動すると言う事ですから、現代風に言うとセグウェイで魔女が追いかけてくる様な感じです。怖い・・・。

両手にはを持っていて、特殊な妖術を杵に使う事で乗っている臼が宙に浮くと言います。
地対空すべて網羅してる所がすごいですね。これにより人間を襲い、食べてしまうと言われています。

そうして出た人骨は、先にも述べた小屋の中に飾ってあるとも言います。

日本の鬼婆と同じく、基本的には幼い子供をターゲットにし、時にさらっていくと言いますが、複数登場する民話の中にはピンチに陥った主人公を助けてくれる物も存在するようです。
いずれにせよ厳しい寒さが具現化された魔女ですから、人々の中には戒めとしての意味合いもあり、礼儀正しい人に協力をする等一種の教訓も含んだ話しとなっているようです。

日本にも存在する山姥、鬼婆伝説と似ている

こうして書いてみると、日本の伝承に出てくる山姥や鬼婆と共通点が非常に多いです。
日本の物の場合、出刃包丁を片手に人を襲い食らうと言う描写が印象的ですが、特に幼い子を好む描写であったり、人里離れた小屋に一人で住んでいるところなどはまったく一緒ですね。

臼や杵を移動手段に用いるのはバーバ・ヤーガ独自の物ですが、文化も違う遠く離れた地で同じような伝承が存在するのは不思議ですね。
ひょっとしたらどちらかは伝来した物なんでしょうか。

管理人の地元では幼い頃早く寝ないと風婆が来ると言われていました。
両親や祖父母が子供を寝かしつけるためのていの良い話でしたが、実際風が強い夜は怖かったのを覚えています。

バーバ・ヤーガも、本来はこうした各家庭で語られるような存在だったんでしょう。

[当記事の著作権はhttps://chahoo.jp/に帰属します]2016/06/08
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