日本で有名な妖怪ろくろ首、首がどこまでも長く伸びる女性の妖怪として知られていますが、実はこの日本のろくろ首によく似た妖怪が東南アジアにもいるんです。
その名を「マーライ」といい、東南アジアで目撃情報が多発しています。
今回はこの妖怪マーライについて詳しくご紹介していきます。
マーライはどんな妖怪?
東南アジアで目撃情報が相次いでいる妖怪マーライは、まだ太陽がある昼間は普通の人と同じ容姿をしています。しかし、日が沈み夜になると頭だけで飛ぶようになり、街中を徘徊するそうなのです。
そして人の便を見つけるとそれを食べ、その便をした人を特定して内臓を引き抜いてしまいます。
当然内蔵を抜かれた人はそのままでは亡くなってしまいますが、マーライの家まで行き謝礼をするとそのまま生きていられるそうなのです。
さらにマーライは呪いによって人を死にいたらしめることもできます。
このように恐ろしい妖怪マーライは今もなおベトナムの山岳地帯の民族を中心に信じられているのです。
マーライが関連した事件
このように人を死にいたらしめるとして恐れられているマーライですが、そのマーライを信じるがゆえに発生してしまった人による痛ましい事件があります。
それは2014年のこと、ベトナムのある村に住むディン・ヒー氏という女性は、村人たちからマーライであるという疑いをかけられてしまいました。
そして村人に呪いをかけたとして2人の男に殴り殺されてしまったのです。
彼女の遺体は排水溝に捨てられました。
疑いをかけられただけで亡くなってしまったまるで魔女狩りのような事件は他にも10件以上発生していて、その犠牲者たちは死者2名、重傷者4名もいます。
さらに事件に関わった被疑者として4名が逮捕され起訴されているのです。
どの事件も被害者となった女性が呪いをかけたと思われ、そこから暴力を受けています。
この事態を重く見た政府は、教育宣伝委員会を通じてベトナム語やジャライ語、バナ語でマーライに関するハンドブックを作成し、該当する村人たちに1万3000部配布することとなりました。
ハンドブックの内容はマーライや呪術は単なる迷信であることを具体的かつ科学的に分析した結果が書かれていて、マーライなどの妖怪の話は作り話で存在しない、とマーライの存在を完全に否定した内容になっています。
このハンドブックを配布しながら村人たちに啓蒙活動を行ったのです。
ベトナム以外でもマーライは存在している
今回マーライに関連する事件が起こったのはベトナムですが、このマーライのように頭だけが飛ぶ女性の妖怪の言い伝えは周辺の国にもあり、カンボジアでは、アープ、ラオスではピーカスー、タイではガスー、マレーシアではペナンガラン、インドネシアではレヤックまたはクヤンと呼ばれ、それぞれの国で恐れられています。
いずれの国でも昼間は普通の人と同じ容姿をしていますが、夜になると頭だけの状態で飛び回り人の便食べたり血を吸ったりして、人を呪う力を持っているという点が共通しているのです。
実際に目撃したという情報も!
ここまで東南アジアの多くの国でマーライが信じられているのは、やはり目撃情報があるからです。
タイのラッタナブリというところに住んでいる16歳の女性は、ある日の夕方に友人たちと食事をしている時に、星空をスマホで撮影していました。
撮影した画像を確認すると、その中の一枚にうっすらと光る物体が写りこんでいました。
その部分を拡大してみると、物体の正体は人の頭で、首の下から内臓のようなものがぶら下がっていたのです。
その女性たちは「ガスーが現れた」と大騒ぎになり、その噂を聞いた記者が取材に訪れるまでの騒ぎになりました。
まとめ
東南アジアの国々で古くから言い伝えられて恐れられているマーライ、その正体や実在する証拠はまだ見つかっていませんが、国をまたいで共通する妖怪がいるということは、やはり何か言い伝えになるような存在がいるのかもしれません。
マーライに関する新たな情報が出てきたらまたみなさんにもご紹介したいと思います。