未確認生物と言う括りと言うよりは、伝承系、オカルト色の強いウェンディゴです。
極論生物と言うよりは古くから現在のカナダ南部と北アメリカのネイティブアメリカンの間で信じられていた悪霊と言うか精霊ですね。
冬が良く似合う地域密着型の謎生物
主に寒さの厳しい地域での伝承にその存在を見ることが出来ます。
普段は森の中をさまよって、人を襲って食べると言うのが通説です。
面白い事に、20世紀初頭まではちょくちょく目撃情報もあったりしてます。
殆どが誤認とか虚偽の内容では無いかなと思ってしまいますが。
一応の外見の特徴としては、身の丈が5メートル近くもあり、骸骨に似た顔。
中にはヘラジカやトナカイの様な角が頭に二本生えていたと言う証言もあったり、寒い地域だけに全身を厚い毛で覆われた姿との意見もあります。
正にその土地ならではの自然環境と、生息する動物のオマージュ的な要素が盛り沢山な未確認生物ですね。
日本の妖怪にも共通点があった
意外と歴史の古いウェンディゴですから、色々な逸話が残っています。
出没するのが深い森の中と言う事で、日本でも古来から山にまつわる不思議な話は沢山ありますが、ウェンディゴも同じように奇々怪々な能力を持ってるみたいです。
森の中で旅人が背後に気配を感じる、それも明らかに。
けど振り向くと誰も居ない。
そんな事が延々と続き、精神的に疲弊してくると今度は耳元で延々と囁くと言われています。
ここだけ切り取ると何とも陰険な感じの仕打ちですが、恐らく寒い森の中で不安感や焦燥感から来る言いしえぬ体験を人格化したものではないでしょうか。
日本でも山の中で出現するサトリと言う妖怪がいて、人の心を読み最終的には食べてしまうと言う精霊の様な者がいますが、それと非常に良く似たディティールだと思います。
共通しているのは山や森と言うある種の閉塞空間、薄暗い状況等が一致しているので、人間の本来持っている本能的な恐怖感から生まれた存在だと思いますね。
このサトリにしてもウェンディゴにしても洋の東西を問わず人の感じる恐怖は一緒なのかなと思わせてくれる感じが興味深いです。
精神病にもなったウェンディゴ
現在でも特定の精神疾患を「ウェンディゴ憑き」と言います。
これは、主に前述の地域がメインだと思いますが特定の文化依存型の精神病で、根本の原因としては厳しい冬の食糧事情が挙げられています。
夏に比べて食材もかなり限定されてしまう冬場では、飢餓や栄養面でも体調に異常をきたす事が多く、ビタミン不足から生じる精神病とされていますね。
最初は強い不安感から始まり、段々人を食べたいと思うようになってくると言うかなり独特な精神疾患ですが、根本にあるのは「ウェンディゴになってしまう」と言う考えの様ですから、特定の地域と言うのも頷けます。
最近ではゲームのキャラクターだったり書籍やその他エンターテイメントにもその名を見ることが出来るウェンディゴですが、言うなれば海外版妖怪と言った所でしょうか。