呪いの宝石:ホープダイヤモンドに秘められた怪奇な運命

星の数ほどある宝石の中で、ひときわ魅惑的な存在感を放つ宝石、それが「ホープダイヤモンド」です。
ここではオカルト的な側面に焦点を当て、その歴史と謎、呪いの伝説、登場する作品について探求してみましょう。

名前の由来と謎

「ホープダイヤモンド」は、アメリカのスミソニアン博物館の1つの、国立自然史博物館に所蔵されている、45.5カラットのブルーダイヤモンドです。

19世紀の所有者である、宝石商のヘンリー・フィリップ・ホープの名前にちなんで、「ホープダイヤモンド」と呼ばれるようになりました。

青い色の原因は、不純物として含まれるホウ素であると判明しています。
しかし、ダイヤモンドが生成する地球の地下深くにはホウ素がほとんど存在していないため、自然界でどのようにして誕生したのか謎に包まれています。

また、紫外線を当てると美しい赤色に発光することが知られています。
他にも紫外線を当てると発光するダイヤモンドは存在しますが、「ホープダイヤモンド」は照射をやめても数秒間光り続けるという、唯一無二の性質を持ち合わせています。

歴史

「ホープダイヤモンド」は、9世紀にインド南部のコーラルという町を流れる川で、マデアという農夫によって発見されました。発見当時は112.5カラットもの大きさがあったと言われています。
その後、この土地に侵攻してきたペルシア軍に奪われ、ペルシア国王に献上されました。

17世紀にはフランスの宝石商人のジャン・バティスト・タヴェルニエが、インドの寺院に祀られていたラーマ王とシータ妃の像の眼にはめられていた「ホープダイヤモンド」を盗み出したと言われています。
彼はフランスにこれを持ち帰り、ルイ14世に売却しました。

ルイ14世によって69.03カラットのハート型にカットされた「ホープダイヤモンド」は、“フランスの青”と呼ばれフランス王室宝物庫に収められていましたが、フランス革命の中で強奪され行方不明になってしまいました。

行方不明後、オランダの宝石研磨師ファルスの手に渡りましたが、入手経路は謎とされています。その後宝石コレクターのヘンリー・フィリップ・ホープが所有。ホープの死後も、転々と持ち主を変え、最終的にスミソニアン博物館に寄贈されました。

呪いの伝説と所有者の末路

 

「ホープダイヤモンド」を所有する者は次々と不幸な出来事に見舞われるとされています。
歴史的に有名な所有者たちが破滅的な結末を迎えたという話が伝えられており、これを呪いの影響と結びつける人々もいます。多くの呪いの伝説の一部をご紹介します。

【発見者マデア】

インドがペルシア軍の侵攻を受けた際、「ホープダイヤモンド」を奪われまいと両腕で握りしめて抵抗したため、両腕ごと切断されて殺害されたと言われています。

【ペルシア国の国王と司令官】

マデアから「ホープダイヤモンド」を奪ったペルシア軍の司令官は、国王にダイヤモンドを献上して喜ばれた一方、その後の親族の失態により処刑されてしまいました。
国王自身も臣下の謀反によって殺害されました。

【宝石商ジャン・バティスト・タヴェルニエ】

ジャン・バティスト・タヴェルニエが、インドの寺院から「ホープダイヤモンド」を盗み出したことに気づいた僧侶が、このダイヤモンドに呪いをかけたと言われています。
その結果、彼は「直後に熱病で死んだ」、「狼に食い殺された」などといった逸話が語られるようになりましたが、実際には84歳で老衰で亡くなっています。

【ルイ14世/フランス王家】

「ホープダイヤモンド」を手に入れた頃から、フランスは国家の財政悪化に苦しむようになりました。
また、ルイ14世からこのダイヤモンドを借りた大臣が翌日に処刑されたり、リカットに携わった職人に不幸が降りかかるなど、不穏な出来事が続きます。
その後、ルイ14世の子供たちが相次いで死去、ルイ14世本人も天然痘で病死しました。
ルイ14世の死後、「ホープダイヤモンド」を引き継いだルイ15世も天然痘で病死、さらにルイ16世と妻のマリー・アントワネットはフランス革命で処刑されてしまいました。

【オランダの宝石研磨師ファルス】

1800年に所有者となったファルスでしたが、息子が「ホープダイヤモンド」を勝手に売り飛ばしてしまい、そのショックで死亡。息子は発狂して自殺、ダイヤモンドの購入者は喉に肉を詰らせて窒息死したと言われています。 

【イギリスのダイヤモンド商ダニエル・エリアソン】

1812年に「ホープダイヤモンド」を手に入れたわずか数日後に、落馬により死亡。

【宝石コレクターのヘンリー・フィリップ・ホープ】

1830年に所有者となった後から数々の不幸に見舞われ破産し、名家だったホープ家は没落してしまいました。

【大富豪マクリーン家】

1911年、「ホープダイヤモンド」を手に入れた後、息子がわずか9歳で交通事故死。
夫が政治的問題を起こして夫婦は離婚し、夫は発狂して精神病院で死亡。
娘は薬物中毒に死亡し、妻も肺炎にかかり病死しています。

【最後の所有者ハリー・ウィンストン】

彼は呪いを信じていませんでしたが、1941年に「ホープダイヤモンド」を入手後、4回も交通事故に遭い、破産してしまいました。

ホープダイヤモンドとエンタメ作品

「ホープダイヤモンド」はたびたび映画やアニメの世界にも登場します。
特に有名なのは1997年に大ヒットした映画「タイタニック」でしょう。
作中に登場する宝石『碧洋のハート』は「ホープダイヤモンド」をモデルにしたと言われており、
身に着けたヒロインは、悲劇的な運命を辿ることになります。

また、アニメ「ルパン三世」にも登場しており、手に入れた峰不二子にも災難が降りかかっています。

まとめ

「ホープダイヤモンド」は、その歴史を通じて多くの所有者の手を渡り歩きました。
その美しさと謎めいた歴史、そして不思議な伝説によって、私たちの興味を引き寄せる宝石です。
呪いの伝説ではこちらで紹介していないエピソードも数多く語られていますが、ほとんどの人物は架空で、大幅に脚色されているそうです。
どこまでが真実か定かではありませんが、1つの宝石にこれだけの逸話が存在しているというのが、ロマンがあって興味深いですね。

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