イギリスの考古学者ハワード・カーターが、今から1世紀以上も前の1922年11月4日にまだ誰にも荒らされていないツタンカーメン王の墓を発見しました。
発見されたツタンカーメン王の墓には黄金のマスクをはじめ数々の豪華な装飾品などが出土され、考古学者たちをザワつかせたのです。
そんな出土品の中でも特に注目された装飾品が黄金のマスクの他にもります。
それはスカラベのモチーフが目を引く黄金の首飾りです。
実はこの首飾りの発見から、ツタンカーメン王は宇宙とのつながりがあった可能性があるというのです。
今回はこのツタンカーメン王の黄金の首飾りと宇宙とのつながりについて探求していきたいと思います。
古代エジプトのツタンカーメン王
ツタンカーメン王は、エジプト新王国時代の第18王朝末期の最後の直系王族のファラオ(王)です。
ツタンカーメン王は紀元前1332年頃から紀元前1323年頃という短い間に王座についていましたが、若くして亡くなってしまったため悲劇の少年王として有名になっています。
ツタンカーメンがファラオとして在位していた期間は10年弱というとても短い期間で、後世に残されていた王名表などからその名前が削除されていたので、あまり一般の人には知られていませんでした。
当時ツタンカーメン王の墓が見つかると信じていた人はあまりおらず、その墓も荒らされないように岩石などで覆い隠されていましたが、それでも諦めなかったイギリスのハワード・カーターによってやっと日の目を浴びることとなったのです。
発見された黄金の首飾り
発見されたツタンカーメン王の墓からはとても多くの装飾品などが出土されています。
中でも世界的に有名なのが黄金のマスクですが、それよりもハワード・カーターが注目したのが黄金の首飾りでした。
このとても精巧に作られた首飾りは、黄金の他に中央にはスカラベをかたどった黄色い鮮やかな宝石で飾られていました。
実はこの黄色い宝石こそがツタンカーメン王が宇宙とつながっていたかもしれない手がかりなのです。
宇宙由来の天然ガラス
黄金の首飾りの黄色い宝石はリビアの砂漠で見つかる天然のガラスで、今から約2900万年前にサハラ砂漠の東部に宇宙からやってきた隕石が落下し、破裂したことによってできたとても貴重なものとされています。
さらにこの首飾りに使っている大きさのものはなかなかあるものではなく、その当時砂漠の奥地まで探しに行き、この天然ガラスを見つけるのは非常に困難だったはずです。
絶大な権力をもっていたファラオだからこそ手に入れることができるものでした。
古代エジプトとスカラベ
スカラベというのは古代エジプト人がとても神聖なものとしていた甲虫で、フンコロガシの一種です。
このスカラベは古代エジプトでもっともよく使われているシンボルで、ツタンカーメン以外の歴代のファラオたちの墓でも使われていました。
スカラベは当時、日の出の太陽の象徴で出現のシンボルとして扱われてきたのです。
あるエジプト学者は「太陽神ラーは時間帯によって1日で4回違った姿で現れます。朝一番の日の出のときはスカラベの姿をしているのです」と語っています。
古代のエジプト人たちはスカラベがボール状のフンを転がしている姿から、ラーが毎朝太陽を地平線から押し上げていると考えていたのです。
まとめ
ツタンカーメンの首飾りにある宇宙由来の鉱物からできたスカラベのように、古代エジプト人たちは自然界のあらゆる動きや現象そのものを神として崇めていました。
まだ地球が丸いことや宇宙の仕組みなど全く未知の状態だったこの時代に、独自の観点から宇宙を眺め、その動きを常に意識していたのです。
ツタンカーメンも生前、あらゆる方法で宇宙や自然とつながろうとしていたのかもしれません。