ギリシャ神話の邪竜ピュートーン

ギリシャ神話の中ではマイナーな竜ピュートーン

ギリシャ神話には沢山の竜が登場します。
よく考えて見ると他の地域の神話ではせいぜい一匹か二匹の竜もしくは龍が登場するのが関の山ですが、何故かギリシャ神話ではラドン、ヒュドラ(蛇?)、ウロボロス等が登場しますね。

しかもどれも単体で見ても有名な奴ばかりです。
他の幻想生物と合わせて名前だけでも聞いた事があると言う人は多いのではないでしょうか。

今回紹介するピュートーンですがそう言う意味ではマイナーな竜かもしれません。
私はゲーム「ソウルハッカーズ」に登場した事で知りましたが、その後色々調べてみるとなかなかインパクトのある奴です。

泥から生まれたピュートーン

一説には竜ではなく蛇とも言われますが、いかんせん自分の中では邪竜のイメージが強いので便宜上今回は竜として書こうと思います。
ギリシャ神話の中では出自もはっきりしていて、母はガイアとされています。

このガイアと言う神様は古い地母神としての神格も備えており、大地を象徴する女神様なんですね。
よくガイア理論と言って地球を一つの生物に見立てる学説がありますが、このネーミングも元々ギリシャ神話のガイアから来ています。

ピュートーンの父ははっきりとわかりませんが、一説にはガイアがデウカリオンの洪水の跡大地の泥と交わった際に誕生したとも言われています。
この事からピュートーンは土とか泥と非常に結びつきの強い怪物として描かれていて、地中の中に生息していたと言われています。

ギリシャにはデルフォイと呼ばれる有名な信託所がありました。
これは読んで字の如く神様からのお告げなどを授かる場所ですが、神聖な場所とされており最古の信託所がこのデルフォイなんですね。

日本で言う頃の神社の様な位置づけでしょうか、この当時から有名だった信託所を守っているとされたのがピュートーンなんです。
時にはピュートーン自身が信託を授けていた時代もあったようですが、この事から当初は怪物としての側面より神聖な生物としての趣が強かったんだと思います。

予言の通りアポロンに倒される最期

ギリシャ神話の魅力の一つに、ピュートーンの様な怪物も人間臭く細かい設定がなされている所です。
ある日自ピュートーンはレートーと呼ばれる女神の子供に殺害されると言う予言を耳にします。

慌ててこのレートが子供を出産しないようにと方々追いかけまわしますが、そんなレートーを助ける神様も登場します。
それは主神ゼウス等力のある神々で、その結果無事にレートはアポロンと呼ばれる神様を出産するんですね。

このアポロン、日本では太陽とか光の神様のイメージが強いですが、結果母を追いかけまわしたと言う事でピュートーンはアポロンに追われる様になります。
一説にはアルテミスも助成したとありますが、結局ピュートーンはアポロンに倒されてしまいます。

アポロンはピュートーンの死骸をちゃんと埋葬し、デルフォイの信託所もその後はアポロンの管轄になります。
このタイミングで正式にアポロンの信託所と呼ばれる様になった事も判明していますね。

ピュートーンは大地の災害のイメージが神格化したもの?

個人的な見解ですが、ピュートーンに関しては出自も含め大地の災害に関する神格化された怪物なんではないでしょうか。
洪水後の泥から生まれたと言う点も、疫病などの蔓延を暗示したものなんではないでしょうか。

他にも地滑りなどがあります。
雷や大雨と同じく、それらに抗う術がなかった古代ギリシャの人々には強烈な出来事の一つだったんだと思います。

日本でも特定の神様を鎮めるために社を建てたりしますが、ピュートーンも当初そう言った経緯もあり信託所を守る巨大な蛇もしくは竜として称えられたんだと思います。
時代が下って信仰自体が広がってくると、更に肉付けされていく中でアポロンが登場し、一連のストーリーもよりソリッドになって行ったんだと思います。

その中でピュートーンは退治される話まで作られ、結果お役御免となったんではないでしょうか。

日本でもヤマタノオロチ伝説がありますが、洋の東西を問わず巨大な蛇や竜が退治されるのは不思議ですね。シンクロニシティでしょうか。

アイキャッチ画像出典元:Wikipedia

[当記事の著作権はhttps://chahoo.jp/に帰属します]2017/06/07
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