ヒッタイト神話に登場するイルルヤンカシュ

イルルヤンカシュ

巨大な蛇かドラゴンの姿で描かれるイルルヤンカシュ

あまり聞き覚えの無い名前かもしれませんが古代の中東で暴れたと言われているのがイルルヤンカシュです。
名前の由来は蛇から来ていると言いますが、見方によってはドラゴンではないかとの説もあり、おおよそ世界中に流布するドラゴン神話の一つと言えるでしょう。

ヨーロッパや中国でのドラゴン伝説が有名ですが、そういう意味では中東のドラゴンと言う貴重な幻想生物です。

名前の呼び方もまちまちで、時にイルヤンカシュと呼ばれたりルヤンカシュと呼ばれたりする事もあります。

出典自体はヒッタイトの神話になり、記録としては当時ハットウシャと呼ばれた地域から出土した粘土板にその姿が描かれていますね。

この粘土板は昔のお祭りプルリヤシュで使用されたと言う記録も残っており、生活に根差した土着の神話に登場する生物と言うよりはある意味信仰の対象、もしくは戒めの話の中で登場する蛇の様です。

嵐の神様と争うイルルヤンカシュ

大きく分けるとイルルヤンカシュが登場する話は2パターン存在するようです。

まず一つ目はと言うと、嵐の神様と対決するストーリーになります。
激しく戦ったこの二人ですが、一度イルルヤンカシュは嵐の神様を倒してしまいます。

そしてその心臓と眼を抜き取ってしまったと言われており、これにより嵐の神様は天候を操る能力を失ってしまうんですね。
密かに復讐を誓っていた嵐の神様は、その後人間の娘を妻にめとり後に息子をもうけます。

この半身半人の息子が成長するまで気長に待った後、イルルヤンカンシュの娘に婿養子として嫁がせてしまいます。

その狙いはイルルヤンカシュの家に出入りさせて、自分の心臓と眼のありかを見つけさせる事でした。

息子の地道な調査の結果ある日嵐神の奪われた二つの部位が発見されます。
秘密裏にそれを持ってこさせ、結果本来の神としての力を嵐の神様は取り戻すんですね。

そしてイルルヤンカシュに再戦を申し込みます。

こうして壮絶な戦いの第二幕は切って落とされましたが、いざ戦いが始まるとまずい事に気づきます。
それはたまたまイルルヤンカシュの傍に嵐の神様の息子が立っていたんですね。

これでは攻撃できないと一瞬ためらいますが、その時に息子自ら「自分には構わずイルルヤンカシュを倒してください」と叫び、その心意気を汲んだ嵐神は息子もろともイルルヤンカシュを攻撃します。

こうして息子も殺すことになってしまいますが、見事イルルヤンカシュにも復讐を果たすことが出来たと言う話でした。

気になるもう一つのお話はと言うと、こちらにも嵐の神様が登場します。
そこでもこの二人は争っているのですがイルルヤンカシュが勝利すると言う部分まではまったく一緒のようです。

這う這うの体で逃げ出した嵐の神様は女神イナラシュに泣きつきます。

そして助力を仰ぐのですが、イナラシュが編み出した秘策は宴会を催し、そこにイルルヤンカシュを招き泥酔させてしまうと言う物なんですね。

人間の力を借りてイルルヤンカシュを退治する

一見寝込みを襲えば万事解決と思うのですが、用心深いのかイナラシュは人間の男を選び彼にイルルヤンカシュの手足を縛るように命じます。
この人間の男は名をフパシヤシュと言い、イナラシュと一夜を共にする事を条件にこの依頼を引き受けます。

そしてまず先にと女神と一夜を共にすると、その結果元は人間だったフパシヤシュにも神の持つ力がもたらされるんですね。

こうしてより強くなったフパシヤシュは、酔いつぶれているイルルヤンカシュの手足を縛りあげ、更に嵐の神様がイルルヤンカシュを殺してしまいます。

この二つのエピソードがイルルヤンカシュの主な登場する話になりますが、巨大な蛇もしくは竜が酒に酔わされると言う一連の話は日本のヤマタノオロチを彷彿とさせます。

そこに女神と言えど女性が絡んだり、屈強な男神が登場する部分などもどことなく似てると思うのは気のせいでしょうか。
歴史的には恐らくイルルヤンカシュの登場するヒッタイトの神話の方が先に成立していると思います。はっきりと調べたわけではないですけど。

長い時間を経て大陸を横断し日本に渡来したのがヤマタノオロチの神話になったんでしょうか。

余談ですが、イルルヤンカシュが退治された後のフパシヤシュは女神イナラシュに軟禁されてしまいます。
その理由は、交わって今や神となったフパシヤシュが人間界を懐かしくなり帰りたいと思わない様にするためと言う物でした。

そのため窓をあけてはいけないと言う禁則を設けられていたんですが、あるひフパシヤシュは禁を破り開けてしまいます。
案の定ホームシックに陥ったフパシヤシュは、イナラシュに「帰りたい」と申し出ますが、激高したイナラシュはフパシヤシュを殺害してしまいました。

何とも後味の悪いと言うか、短絡的な神様の特徴が表されている話だと思います。
この辺りの人間味があふれる部分もどことなく日本神話に登場する神々に似ていると思うんですが、真相はどうなんでしょうか。

[当記事の著作権はhttp://chahoo.jp/に帰属します]2017/06/14
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