その昔、神奈川県伊勢原市と秦野市間を繋いでいたトンネル、それが通称「旧善波トンネル」です。
現在は国道246号線の「新善波トンネル」に主役の座を奪われましたが、知る人ぞ知る心霊スポットとしてオカルトファンの間で広く認知されています。
旧善波トンネルはカーブや死角が多い山道です。事故やそれに伴う死傷者が後を絶ちませんだした。そして表題にある「もう死なないで淳一」という奇妙な立て札、次々に寄せられる心霊現象の数々…
しかしその裏には過去に起こった悲しい出来事があったのです。今回は地元民の目線から、この『旧善波トンネル』をリサーチしました。
全国に名を轟かす心霊スポット
旧善波トンネルは心霊マニアならば一度は耳にしたことがあるはずです。このトンネルは日本が高度経済成長期に入る以前、丹沢山系の麓『善波峠』を越すために作られました。
1986年には仲村トオルさん主演の映画「ビーバップハイスクール2高校与太郎哀歌」のOP撮影地になり、当時小学校ではかなり話題になったことが懐かしいものです。
新善波トンネル(正式名称:新善波隧道)は地元民の生活にとって欠かせません。首都圏と郊外を結ぶ輸送道路として、大型トラックも一般車もビュンビュンと走ります。
令和の今も危なかっしい道路です。新善波トンネルですら暗がりで前が見にくく、神経をすり減らしながら運転しなければいけません。
車の往来が多い割に周辺はかなりの田舎です。人影はまばらでバブル期に建てられ放置された廃ホテルが不気味さをより一層駆り立てます。
しかしなぜ?このトンネルは全国的な心霊スポットとして名を馳せているのでしょうか。それは過去に起こった悲しい事故と「もう死なないで淳一」という、正体不明の謎の看板にあります。
「もう死なないで純一」悲しい事故とは?
1965年9月2日、今から約60年前に秦野市在住の17歳の少年が運転するバイクとトラックが、正面衝突する痛ましい事故が起こりました。17歳の少年は短い生涯を閉じます。
そう、その事故が起こった場所が話題に挙げた旧善波トンネル付近です。その当時旧善波トンネルを介する道路は事故頻発地帯で、かなり問題を抱えた道路でした。ですがその利便性から車の往来は絶え間なかったそうです。
ここまでなら過去の事故と何ら変哲はありません。問題はその後です。
事故現場に『もう死なないで、淳一』という正体不明の謎の看板がいつしか建てられていました。これを境に「亡くなったはずの少年が走っていた」「首なしライダーを見た」という心霊現象の報告がどんどんと寄せられ始めるのです。
看板の謎
考察サイトなどで看板の真相は諸説唱えられていますが、地元に伝わる真相は少年の母親が建てたものだということです。
実は昔、私の職場に少年のご家族と親戚関係にある先輩が在籍していました。実際話を聞くと「息子を弔う」「同じような事故が二度と起きないように」とこの看板を旧道脇に設置したというのが真相です。
当時の秦野市はかなりの田舎で、特有の親戚関係の濃さが残っていました。親戚一同は当初賛成したものの、ドライバーや周辺住民から苦情が相次ぎます。このままでは逆に事故を助長しかねません。
最終的に理解を示したはずの親戚一同も、迷惑だという声がやまずに業を煮やしました。何度も何度も看板の撤去を求めました。しかし母親は頑として首を縦に振りません。
この様に世間を騒がせ続けた「もう死なないで淳一」の看板ですが、1989年平成元年に老朽化による撤去が行われ、今では完全にその姿を消しています。
旧善波トンネルの心霊現象
ここまでは全て人の手によるものですが、心霊現象は確実にあったそうです。ただ私自身が体験した訳ではありません。
- 深夜に5歳くらいの男の子が立っていた
- トラックの前に突然少年が現れる
- ずぶ濡れの女がトンネルに佇んでいる
不気味な目撃談がドライバーたちから次々と寄せられ始めます。
でも考えてみて下さい。いくら不気味な看板とはいえ、その設置を境にいきなり「旧善波トンネル」が心霊スポットに変わるというのもおかしな話です。
ただ旧善波トンネルとトンネルを跨ぐ旧道は、昼間でも人影が全くなく不気味な雰囲気が漂います。一度冷やかしで訪れましたが、霊感ゼロの私ですら背筋がゾッとしたことを今でも忘れません。
心霊現象の考察
もう一度上の記事を読み直してください。勘が鋭い方はお気づきでしょうが目撃談は全て、17歳の少年の姿をしていないのです。
少年というより「男の子」女性に至っては性別がそもそも違う。この不可解な差には一体どんな意味が込められているのか…考えてみましょう。
旧善波トンネル、そしてそこに繋がる旧道は事故頻発地帯だった…ということは既にお話ししました。少年の事故と看板のインパクトが強すぎてついついそこに目が行きますが、少年の事故以前にも亡くなった方は多数いたと聞いています。
決定的なのが「17歳の少年」の目撃談はほとんど挙がっていなかったことです。不幸にも他の事故で命を落とした男の子や女性の霊が、本事故をきっかけに何かを訴えようとしているのか。看板のインパクトが強すぎ、何かしらの錯覚をドライバーたちは目にしたのか。
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